塵肺について

塵肺とは
小さな土ぼこりや金属の粒などの無機物または鉱物性の粉塵の発生する環境で仕事をしている人が、その粉塵を長期間にわたり多量に吸い込むことで、肺の組織が線維化し、硬くなって弾力性を失ってしまった病気のことです。
塵肺の症状
初期症状は息切れ・咳・痰が増えるなどですが、進行すると肺の組織が壊され、呼吸困難を引き起こします。また、気管支炎、肺がん、気胸などの合併症にかかりやすくなるので注意が必要です。粉塵作業を行っているとは気づかなくても、塵肺の症状は数年から十数年かけてゆっくりと進行します。

塵肺の種類
症状の現れ方や進行速度は、原因となる粉塵の化学組成や粒子の大きさ、吸入量によって異なり、また、性・年齢・体質などによっても個人差があります。以下は粉塵の化学組成による分類のうち主なものを紹介します。
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珪肺
石英、珪石など遊離珪酸を含む粉塵の吸入が原因。
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アルミ肺
アルミニウム粉塵の吸入が原因。進行が早く、数年間程度で呼吸困難、衰弱などの症状が現れる。
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ボーキサイト肺
アルミニウムの原料であるボーキサイトの粉塵の吸入が原因。進行が極めて早く、2~4年で死亡にいたる。
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酸化鉄肺(鉄肺)
酸化鉄の吸入が原因。電気溶接工にみられる。あまり進行しないといわれる。但し、吸い続けていると数十年で肺が膠の様に硬くなり呼吸困難に陥り、治療は不可能となる。
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石綿肺
石綿(アスベスト)の吸入が原因。肺癌の合併が多い。また、悪性中皮腫を合併する。
塵肺の治療
一度塵肺にかかると、粉塵作業をやめた後も病気は進行します。塵肺そのものについては、現在、治療の方法がありませんが、咳に対しては鎮咳剤、痰に対しては去痰剤、呼吸困難に対しては酸素療法など症状に応じた治療が中心となります。
一度塵肺にかかるともとの正常な肺にはもどらず、粉塵作業をやめた後も病気は進行します。さらに塵肺を治す根本的な治療がないことを考えると、粉塵の発生源対策、局所排気装置等の適正な稼働、呼吸用保護具の適正な着用などにより粉塵へのばく露防止対策を徹底することが重要です。
平成25年3月には厚生労働省より「第8次粉塵障害防止総合対策」が発出され、事業者は粉塵にさらされる労働者の健康障害を防止するため、設備、作業工程または作業方法の改善、作業環境の設備等必要な処置を講ずるように努めなければなりません。